愛惜の日

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「私の姉よ」 「えっ」 「二つ違いなの」 まさか、お姉様は外国留学をなさっていたから今年で十八におなりのはず。二つ違いというのでは二十歳ということになる。 成人なさっているというの? この方が……? 「おっしゃりたいことはよく分かるわ。エリスはね、そうね姉だけれど、あまり健康ではなかったの」 私は頷きました。 「体の発達が遅れているの。こころも、ずっと子供のまま……」 ああ。 それでこんなにも、この方は天使でいらっしゃるのかーー。 「私が家元の跡継ぎとして育てられたのはね……」 物憂げに俯いたお姉様が絹のハンカチーフを柔く握る。
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