愛惜の日

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「いいえ確かに私のせいなのです。だから今度のことは、私にとって悲しみの道ではないの」 そうおっしゃるお姉様の口調は決然としていて、強がりのようにも見えない。 けれども、なぜ慣れ親しんだ学園を去る道を悲しみの道ではないなどと言い切れるの?…… 私がそれを問う前に、席をお立ちになったお姉様はレースの窓掛けをさっと引きました。同時に射し込んだ西日が白い丸テーブルに反射して、ひどく眩しい。 「もしーー」 私に背を向けたまま、お姉様は夕陽を眺めていらっしゃるようでした。 「もし私が身の潔白を証明しようとすれば、私はエリスのことを学園に話さねばならなくなるでしょう。その意味がお分かりになって?」 私は息を飲みました。お姉様のお心が、少しだけ見えた気がしたからです。
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