愛惜の日

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「行方知れずとして除籍されたはずの娘が、実は親の意向で隔離されていた事が世間に知れたら、どうなるとお思い……」 「それは」 「私がここへ来ることは本来許されていないのです。だから叔父に力添えをいただいてずっと内緒で通っていたわ。私はエリスを、私だけはエリスを忘れたくなかった。傍にいていたかった。だって半分は血を分けた、たった一人の姉なのですもの。でも今度のことで、それが全て父の知るところとなってしまったのよ……」 逆光を浴びたお姉様の影が大理石の床に絵を描く。 「だからこれでいいの」 澄んだ鈴の潔さが、そのまま耳に注がれるような声でした。 「私が一身に汚名を着て学園を去りさえすれば、エリスの名誉が再び汚されることはない」 「お姉様」
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