愛惜の日

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「違うのです」 「ちがう? 一体どうなさったの」 「わたくし、わたくし決して、神に誓って、盗みを働こうなどというのではないのです!」 全身全霊で訴えますと、きょとんとしたお姉様は、直ぐにふふっと吹き出しました。 「当たり前よ、おかしなゆきさん。あなたの心根は誰よりも私が知っていてよ」 その言葉は渇いた大地に水が沁み込むように私の心を満たしました。ああ、こんな私にお姉様は全幅の信頼をお寄せ下さっているとーー確かな思いを感じたからです。
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