赤身色の天井の下で

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そして日々激務に苦しみ、主人の人間の健康を保つため必死に生を振り絞る細胞達に酒を振舞うのだ。 仕事の事を一時だけ頭の隅に置いて少しの時間、どんちゃん騒ぎの大宴会! 細胞達の愚痴と共に体に溜まった悪いものが「咳」となって外に放出され、そして騒いで酔った、火照った細胞達が主人の体を熱くして「熱」となって現れる。 これぞ風邪の確固たる真実である。 細胞の健康はご主人である人間の健康。細胞の健康に生きていくためには酒が不可欠なのである。 だからこそ、目の前で酒を飲む事を渋り続ける赤血球大名が私は不思議でならないのだ。 細胞である限り、十五年間も禁酒し続けた状態で目の前に酒を出されれば、涎を垂らして食らいつく事、間違えなしなのだ。 しかしこの赤血球大名。自らの性を押さえ、滴る涎を飲み込んでまで酒を飲まぬと言っている。腸に胃液が降るほどの珍事と表しても過言では無いであろう。 しかし、 一昔前なら兎も角。今現在、そう言って酒を断る細胞の存在が増えてきたのも確かであった。 その理由はといえば決まって、、、 「やはり、ご主人の労働が原因ですか、、、」 「、、、、、、!」 「、、、そうなのですね、赤血球大名」 ブラック企業。人間達はそう呼んでいるらしい。     
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