赤身色の天井の下で

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赤身色の天井の下で

まったく人間とはどうなっている。 否、人間と一括りにするのは良くない、日本人と言うべきか。 そんなに働かなくたっていいだろう。 もっと世界に目を向けよう。 君たちの言うグローバル社会だ。 ほら見ろ、あの遠くの国なんか労働組合を作ってストライキの連続だ。 愚かで健気で嘆かわしい日本人よ! 我らは声を大にして叫びたい! 少しは休んだらどうなのだ! 病は気からなどと言うものもいるが、なんだ「気」とは? 見たことあるのか日本人! そんなものを? 病は「気」から起きるのではない! 病は「菌」から起こるのだ! そんな得体の知れない概念に、我ら細菌が必死になって起こした病の手柄を奪われるなど、もっぱら我慢ならないことなのだ! だがたしかに、人を大きく傷つけ命を奪うような菌もいる。 しかし、敢えて言おう 我ら風邪菌は、君たち日本人の永遠の味方である。故に君らの喉に絡みつく! ここは風邪菌大宴会! 今宵は飲もう。 とにかく飲もう。 数多くいる細胞たちよ、君たちにも休息が必要だ! 飲んで騒いで熱くなって、熱出て覚束ぬ千鳥足になるやもしれん。しかし飲もう! さあ今から始まるは、ミクロの世界の大宴会! 酔い潰れて行きましょう
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