Chapter1

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「ありがとうございましたー」 買い物を済ませたお客さんを見送ると、 「桃葉ちゃん、裏の生地置き場で店長が呼んでるわよ」 中井さんに声をかけられた。 「店長がですか? ああ、はい」 私は中井さんに仕事を任せると、店長こと藤岡さんがいると言う生地置き場へと足を向かわせた。 お客さんから頼まれた生地の場所を聞きたいのかな? それだったら私よりも長く勤めてる中井さんに聞いた方が手っ取り早いはずなんだけど…。 そう思いながら、 「京極です、入ります」 私は生地置き場のドアを開いた。 「お仕事中にお呼び出ししてすみません。 少しだけお聞きしたいことがあったものですから」 申し訳なさそうに言った藤岡さんに、 「いえ、構いませんよ」 私は返事をすると、バタンとドアを閉めた。
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