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そんな彼女の様子に目もくれず、少年はただひとりごとのように言葉をはきつづけました。
「おらも英語をよ、すこうしは勉強したんだけんどよ、英語ってえのはむずかしいなあ。
あれ、おまえさんのなかまのシロカジキっているべな。
そいつを英語にすっと、"black marlin"だって言うんだとよ。
"marlin"はおまえさんがたカジキのなかまのことを指すらしいのはわかんだけんど、"black"は黒色のことだべな。
おらたちが白って言うのを、あっちは黒って言うんだべ。
こりゃあらそいにもなるべな。
それよりおめえ、マカジキなのにつのみじけえから、よくフウライカジキにまちがわれんだろ。
おらもなあ、こんな身なりだからよお、ときたまこころねえひとが、おめえはバイコクドだろうって言うんだよう。
はだの色やかみの毛の色、見た目でさべつされるっていうのはちょっとしんがいだんべ。
だからおらあ、この島のとなりのだんれもいねえ島にすみ着いたんだが、それが運のつきってもんだったんだべ。」
(え?なにがあったの?)
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