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つのなしマーリンが、なんとかしてこのじゃまなおりをどけられないかと考えていると、ふいに彼女でもわかるにんげんの言葉が聞こえてきました。
「おいおい、やめておくれよ。まさかこのおりをこわそうっていうんじゃあないだか。これはせんねんサンゴを守る大事なおりなんだべ。さあなかまが気づかないうちに早く海に帰っておくれよ、つののみじかいマカジキ。」
(あ、わたしあなたの言葉ならわかるわ。
ねえ、そこのにんげんの少年。
お願いだからこのおりをどかしてちょうだい。)
返事をしてみて、つのなしマーリンはある重大な事実を思い出しました。
おじいさんに教えてもらったのは、にんげんの日本語という言葉を、読んだり聞き取ったりするくらいで、その発音のしかたはまだならっていなかったのです。
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