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たぶん、このにんげんの少年には、きいーきいーという彼女のなき声しか聞こえていなかったことでしょう。
「おい、ここにかん板があるのが見えないだか。ここはおらたちが買った土地で、ほかのだんれも入っちゃあいけねえんだぞ。
って、マカジキに言ってもむだだか…。」
少年の言葉を聞いたつのなしマーリンは、とてもびっくりしてしまいました。
(せんねんサンゴはみんなのたからものでしょう。それをにんげんたちは、かってにひとりじめにしちゃって…。
せんねんサンゴも、おりの中にとじこめられて、かわいそうに、しくしくないているわ…。)
つのなしマーリンの耳には、たしかにせんねんサンゴのすすりなくなき声が聞こえていましたが、にんげんの少年には、そのかなしみの感情すら伝わっていない様子でした。
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