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私の名前はリーズシェラン。
とある国の王女で前世の記憶を持っているけど、大人しく控えめに、穏やかに暮らしていた。
・・・・・・つい先日までは。
先日、弟のアランが血塗られた簒奪劇を繰り広げ、王位に就いた。しかも、その原因が私。
私が他国に嫁ぐのが嫌で王になりました、って・・・・・・。
引くわー、正直どん引きだわー。
可愛い弟が格好良く育ったと思っていたら、まさかヤンデレになっていたなんて!
このままじゃ、私は監禁ルート、弟は正妃をつくらず後継者争いで国は荒廃・・・・・・。
そこまで考えて私はぶるりと震えた。
駄目だ、逃げよう。
決意した私は、まずその手段を考えることにした。
*****
「姫様、まずは人手を増やすことです」
私が悩んでいると、人目を避けて侍女の一人がそっと話しかけてきた。この娘は確か、
リーシャ といったかしら? ・・・・・・どうして私の考えている事がわかったのかしら。
「侍女たるもの、主人の考えている事を察するくらいは出来ます。それに、姫様は、その。・・・・・・わかりやすくいらっしゃるので」
うっ。否定出来ない。
私は躊躇いながらも、他に相談出来る相手がいなかったので、そっと尋ねてみた。
「・・・・・・人手って?」
「レナード様を頼っては如何でしょう」
彼女が出した名は、以前私の護衛を務めてくれていた騎士のものだった。
「レナード・・・・・・」
確かに、何処に行くにしても護衛は欲しい。その点レナードなら気心も知れているし、信頼できる。
だけど、私の騎士達はアランが即位して以来、離されてしまっている。名目は反乱を防ぐためとか言っていたけど、単なる嫉妬じゃないかなと思っている。
だって、以前から私が騎士達と出かけたりするとあからさまに不機嫌になってたし。
今の護衛・・・・・・というか監視の騎士はアラン配下の者。この人達をどうするかも問題ね。
「そうね、レナードなら助けてくれるかも。でも、どうやって連絡をつけるの?」
「それは私にお任せください。伝手があります」
きっぱりと請け負うリーシャ。頼もしい!
外の監視役達も彼女がどうにかしてくれるらしい。私は、レナードの宛てて助けを求める手紙を書いた。それくらいしか出来ないのが悔しいけど、仕方ないよね。
それに、まだ考えることはある。
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