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12 サクラ 花びら 恋の舞(つづき)
私を待つ先輩の姿を鳥居の下に見付けた時、空はまだ青く
日も傾いたばかりだった。
だが、それから私の中では時が止まっていたようで、
気付いてみれば、境内は薄暮の中。
その上、ここに来る時は不安と緊張を一人で抱えていたのに、
こうして鳥居をくぐる時は二人。
しかも、今の私たちは繋いだ互いの手の温もりを確かめ、感じ合っている。
そして、やはり秋の日暮れは早い。
薄暮は、見る見る濃さを増し、頬を撫でる風もわずかに冷たさを帯びる。
それでも、数年前に毎日通ったここは、なんとも懐かしい。
その上、あの頃とは別のドキドキを感じながら、
私たちは、ゆっくりと母校への道と辿っていく。
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