13人が本棚に入れています
本棚に追加
「マイカ。俺のマイカになってくれて、ありがとう」
優しい声で静かに言った彼が、そっと私の唇に唇を寄せた。
そして、ものすごく幸せそうに微笑んだ。
「来年の春は、一緒に桜を見に行こうな」
「はい」
うなずいた私の額に、彼は再び淡く唇を寄せる。
「マイカ」
「はい」
そして、短く見つめ合った私を、彼は大切に抱きしめた。
私を包む彼の温もりは、まるで私たちを美しく舞う桜の花びらが
包んでいるように思える。
そして、その私の頭に頬を寄せる彼が静かに呟いた。
「俺のマイカ……」
ドキドキと高鳴る彼の鼓動に耳を寄せ、
彼の背に回した私の手が、小さく彼のシャツを握る。
そして、
「愛してるよ、美羽」
初めて呼ばれた、名前。
それが、彼の心の声になって私の胸に広がる。
そして私も、彼の背中に回した手をそっと引き寄せ、呟いた。
私も大好きです、先輩。
~ fin ~
最初のコメントを投稿しよう!