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福澤は、その日の他愛のない会話を振ってきながら、
まるで、行き先が決まっているかのように駅の方へと歩きだした。
そして、間もなく駅へと出ると、
なぜかそれを通り越して、会社と反対側の方へと向かっていく。
だが、こんな彼の様子に、少なからず私は戸惑った。
そして、まさにどこへ行くのか尋ねようとした時、
私の視線の先に児童公園が見えてきた。
あの会社に入社して、2年半。
駅の反対側に、こんな場所があるのは初めて知った。
そして、
「あの……」
当然のように公園に足を踏み入れてすぐに、私は彼の背後から声を掛けた。
すると、大きな滑り台の前まで歩いて行った福澤が、ゆっくりと振り返る。
「あまり人がいない所がいいのかな、って思ってね」
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