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「あんまり変わってねぇな」
その私の横で、先輩の声が独り言のように呟いた。
そして、それに「そうですね」と頷くと、「あの頃さ」と彼の静かな声が続いた。
「この道を通ってた頃は、自分じゃ大人の端くれくらいに思ってた。
でも、やっぱりガキだったんだよな」
ゆっくりと切り出した彼は、あの頃の自分を振り返るように話しだす。
「前にも話したかもしれねぇけど、親父と孝枝さんが出会ったのは、
俺が高校に入る直前でさ。
恐らく最初の半年くらいは、単なる上司と部下。
まぁ、お袋に先立たれた親父に
彼女が、少し同情してたくらいだったんだろうと思うんだ。
それが、彼女はもちろん、親父の中でも
互いが特別な存在になってるって気付いたのが、高校1年の終わり頃」
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