12 サクラ 花びら 恋の舞(つづき)

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頭では、父親が誰かを好きになってもおかしくないと、分かってはいた。 だが、やはり気持ちの上では、母以外の女性に惹かれる父に ある種の嫌悪を抱いていたという。 「けど、あれ位の年頃じゃ、本音と建て前を分けて振る舞うほど 成長できてねぇんだよな。 だから、ついイラつく気持ちが表に出ちまう」 しかし、それが八つ当たりだということは理解できていた。 だから彼は、いつしかそんな自分の態度を カモフラージュするようになっていったらしい。 「けど、最初はそれが上手く出来なくてさ。 わざとらしくなったり、苛立ちが先に立ったりな。 そんな俺に、いち早く気付いたのが、当時クラスも部活も一緒だった山中。 で、それからはアイツが色んな場面で、さり気なくフォローをしてくれてな」 山中先輩は、特に事情を聞いてくるようなことはしなかったという。 だが結局、川澄先輩のほうから、 やや持て余していた気持ちを吐露する形で、全てを山中先輩に話した。 そして、それから彼らの間には、あの不思議な距離感が出来ていったらしい。
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