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「アイツってさ、冷静っていうより、妙に達観してるところがあってさ。
でもそれのお陰で、俺は、グレも荒れもせず、
無事に、高校生活を終えられたとも思ってるよ。
だから、お前がアイツに惚れても仕方ないって思う自分もいたくらいだしな」
しかし、そんな事を言われた私は、ギクッとして彼を見上げた。
「私、そんなにバレバレな事してました?」
「お前は、大会前だって知恵熱出すくらいに素直だからな。
みんな、分かってたと思うぜ」
「ええぇぇっ! みんなって、水泳部のみんなですか?」
だが、恥ずかしさのあまり叫んだ私に、先輩はニヤッと笑う。
「けど、アイツに恋してた女なんて他にもたくさんいたんだし、
みんな似たり寄ったりだったから、今更だろ?」
「そうかもしれないですけど……」
まさに今更な指摘を受けて小さく言い淀んだ時、ふと思い出した事があった。
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