12 サクラ 花びら 恋の舞(つづき)

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だが、まだ部活動も始まらない、始業式と入学式の日。 しかも、生徒たちが帰宅した夕方のことで、 まさか、そんな自分を誰かに見られているなど思いも寄らなかった。 だから、自然と疑問が口を突いてくる。 「どうして、それを……?」 すると先輩は、隣から、すごく優しい眼差しを向けて微笑んだ。 「あの日、俺、友達から借りたマンガを教室に忘れてきててさ。 でも、翌日からは授業も部活も始まるから、どうしてもその日に読みたくてな。 一度、家に帰ったにも関わらず、諦めきれずに学校に取りに戻ったんだよ。 それで、門を出ようとしたら、お前がこの木の下に立ってた」 ヒラヒラと桜が舞い散る中、 何を思うのか、私は、わずかに微笑んで木を見上げていたという。 そして彼は、そんな私に、ひと目惚れをしたらしい。
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