12 サクラ 花びら 恋の舞(つづき)

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「正直さ、その時は、あんまりにもドキドキし過ぎて その場から、しばらく動けなかった。 だから、そんなお前が同じ部に入部してきた日は、 『奇跡だ』とか思って眠れなくてな。 それが、俺が、お前に惚れたいきさつ」 そして、「それとな」と続けた彼は、 夜の中に枝を伸ばす大樹へと、ゆっくり視線を向けた。 「俺らの卒業式の日。実は、俺が、お前に告ろうと思ってたんだ」 「えっ?」 再びの予想を超える発言に本当に驚き、思わず声が詰まった。 だが、その視界の中で、彼の横顔がゆっくりと微笑む。 「お前が山中に惚れてたのも知ってたし、 俺は、なんとなく避けられてるのも分かってた。 だけどあの日を逃したら、俺は一生、お前に会えなくなると思ってたからな。 今から考えたら、言い逃げみたいなもんだが、 それでも気持ちは伝えようって、朝までは強く決心してたんだぜ?」
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