12 サクラ 花びら 恋の舞(つづき)

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しかし、私が山中先輩に手紙を送った姿を陰から見てしまい、 その場から動けなくなったという。 「お前、手はもちろん、声まで震えてるのに、 アイツへの言葉はしっかりしててさ。 あぁ、コイツの気持ちはアイツしか見えてねぇな。 玉砕覚悟でも、俺が告るのなんか単なる自己満なんだなって つくづく思えてさ」 先輩……。 思わず呟いた私に、先輩の眼差しがゆっくりと戻ってきた。 そして、そっと引き寄せられて抱きしめられる。 「だから今の俺は、すごく幸せだよ。 ちょっと自棄(やけ)になるほどヘコんで、逃げるように九州に向かったあの頃の俺に、 数年後には想いは実るから、胸張って行けって言いたいくらいにな」 そして、少しだけ腕を緩めて、再び腕の中の私を見詰めた。
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