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私は同じ変化を望むものと重なる。
それは、怖さを含んだ歓喜。
新たな繋がりを手に入れる術の一つ。
外界より押し寄せる滅びの力を、死として身の内に宿し感染した私達は限りを意識する。
変化を望んだ私達の間に、それは広がり蔓延したけれど遥かに大きな喜びがある。
生きる事、新しい命を繋ぐ事。
より良い生を。
喜びを、楽しみを、安らぎを、繁栄を。それらを意識する心を。
円環を繰り返した中でもがき、足掻いて手にした小さな自我と逃れ得ぬ死。
変化は一度ではなく連綿と種の中に続く。繰り返し二つに別れ、同じ系統のものと再び重なり合い個々の命を繋ぐ種(たね)を育み新たな種(しゅ)といずれ変わり行く。
重なり合い、絡み合い、互いを補い合い、結ぼれては絡まり解け、互いの一部を交換して。
新しい組み合わせは無限の組み合わせを生み出す。
その度に得るもの、失うもの、補い合うもの。
何時しか私の周りは、ウロボロスの円環を解いたものに溢れ返っていた。
重なり合い、可能性を高め合う私達は、過去の仲間よりもより複雑な体を維持する。
かつてのちっぽけな自分では思いも付かない繁殖の術を身に着けて。互いを認め、受け入れ、混じり合い、そうして互いをより深く知ろうとする。
より大いなる繁栄を、連綿と続く命を途絶えさせない為に。
そこに生まれるのは新たな私、新たな彼、新たな可能性を秘めた一つの命。
進化の系統樹は限りなく別れ行く。
新しい可能性を掴み、永劫の遥かな繁栄を望み。
滅びに飲み込まれて行くものも多いけれど、別れた先で繁栄するものも多い。
命の限りを身の内に抱いた私達は一度きりの存在。
だから高みへ、より高き場所へ。
誰も辿り着けなかった所へ。
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