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可能性はどれ程有るのだろう。
僅かな不安が心を揺らがせる。
死を身の内に抱いた私達は滅ぶのが定めと。
意識の奥底より語り掛けて来る。ぼくと言う個は死ねば無意味と化すのだと。
畏れより生まれる、あざとき意識が心を抉る。
知る事に意味は無いと。
先を望んでも意味は無いと。
戻れ、戻れ、円環のサイクルに。
今ならばまだ間に合う。
これより先は未知の領域、誰もが踏み入れた事の無い領域。
侵す事は、罪か、罰か、咎を生むか。
繁栄を望めば、他の命を踏み台にする矛盾が生まれ。
心を持つから、要らぬ苦しみを背負う。
個性なき存在に還り、連綿と続くサイクルの中に漂えば良いと誰かが囁く。
ああ、でも。
その意識すら己のものだと知っている。内包する恐怖が見せる心の欺き。
死の恐怖は自らが消え去る恐れ。生きる喜びは繋がって行く命と触れ合う心。
形はなくとも個々の意識に残される知識と言う名の術。
ぼくは、全ては滅び行くから無に成るのだと思わない。
私は、生きる事にも死にも意味が有るのだと思う。
だから永遠の円環を解き、二重の螺旋と成り遥かな場所へと向かう。
絡み合い、互いを支え合い、上へ上へ。
登れ登れ、遥か頂きに。
不死を描くウロボロスの円環を断ち切り。
伝令神ヘルメスの持つ、カドゥケウスの杖に絡む二匹の蛇と成り変わり。
有限の彼方に無限を夢見て、遥かなる世界に挑み続けよう。
命が滅び、繋がり行く先を。
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