おわりに

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おわりに

あの時期を振り返って僕がいま思うことは何だろうか。 気障な言い方をさせてもらえば、今の僕にとって、 あの頃の僕と関わったすべての人たちが、 この上なく「愛しい人たち」だったように思える。 愛しい人たちと過ごせて僕は幸福だった。 長い時間が過ぎた。 僕の思い出の場所の多くはもうなくなっている。 場所が残っていても、愛しい人たちはもうどこかへ消えてしまった。 過去を振り返るのは、楽しいようでむなしい作業だ。 改めて、もっとしっかりと書くことができれば、と思うが、 もう書かないかもしれない。僕の筆力ではこれが限界だ。 誰か、これをすべて読む人がいるだろうか。 書いたのは私を慰めるためだ。 忘れたくない思い出を書き記しておきたかった。 一方で僕は「愛しい人たち」の誰かが、もしこれを読んでくれたらと 密かに期待している。僕は彼らが恋しい。 だが、いまさら彼らに会いたいわけではない。 いま会ってもがっかりさせてしまうだけだ。 最後に、愛しい人たちに伝えられるものなら伝えたい。 僕はあなたたちと出会えて幸せだった。 小平市であなたたちと過ごした10年は至福の時代だった。
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