記憶のコラージュ

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僕の最も古い記憶はゆうちゃんという親友に関するものだ。 ゆうちゃんが2号棟の駐車場の前で「僕はA幼稚園に行く」と話している場面だ。 入園する幼稚園についての話をしているので、たぶん4歳のときだったと思う。 ゆうちゃんと同じ幼稚園に行きたかった僕は、その話を聞いて、 母親に自分もA幼稚園に行きたいと伝えた覚えがある。 ゆうちゃんは僕の人生最初の親友だった。 幼稚園に入る前から親しく、そして幼稚園時代も最も親しかった友人だった。 初めてファミコンを見たのもゆうちゃんの家だ。 アルバムの写真を見ると、幼稚園での写真の半分くらいは ゆうちゃんと一緒に写っている。 だが、そのゆうちゃんは小学一年生の時に引っ越していった。 ゆうちゃんとはそれっきりだ。30年以上も会っていない。 今後、再会することもないだろう。 ゆうちゃんに惹かれて入ったA幼稚園のことは不思議なくらいよく覚えている。 おそらく幼稚園なので行事がたくさんあったことと、 初めての集団生活が刺激になったのではないか。 まず最初に思い出すのは年少の頃に行った芋掘りのことだ。 幼稚園に入ってからかなり初めの頃の行事だ。 幼稚園の近所の畑へ行き、芋掘り体験をした。 サツマイモを掘って持って帰り、家族で食べたのを覚えている。 A幼稚園は障害児を積極的に受け入れている幼稚園だったらしく、 僕のいた頃もアルビノの男児や聴覚障害のある女児がいた。 彼らとはあまり交流がなかったので、見かける程度でしか知らなかったが、 幼稚園時代の忘れられない記憶のひとつだ。 その後、あのアルビノの子は幼くして死亡したというようなことを母から聞いた。
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