14人が本棚に入れています
本棚に追加
第6章 現実
第6章 現実
「痛い・・・体中が痛い」
体中が痛かった。ボーっとした頭のまま、うっすらと目をあけた。
龍のコンサートの夢をみていたのかしら・・?
「美奈!!美奈!!よかった・・・よかった・・」
そこには、真っ青な顔をした母親が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「ど・・・どうしたの・・お・・おかあさん」
口が痛むためまだ、上手にロレツが回らなかった。
「あなた、自転車のままトラックにはねられたのよ。一度心臓が停止してその後は昏睡状態に・・・今夜が山場だって先生に言われて・・・」
母親は、泣きながらも早口にまた、再び美奈が昏睡状態にはいらないように、状況を説明した。
私・・・・はねられたんだ・・・一度・・・死んだの????
「お・・・お父さんは?」
「となりの集中治療室・・・」
「え・・・お父さんも??」
「じゃなくて奈美が今日、イギリスから帰国して、自宅に帰る途中で、乗っていたタクシーとトラックが衝突して、同じように昏睡状態になって・・・」
というとまた母の両目から大粒の涙がポロポロとこぼれた。
「まったく、双子だからってそろいもそろって、自分達の誕生日に事故にあうなんて・・・
奈美も一度心肺停止に陥って、昏睡状態のままなの・・・」
「母さん。」
声を震わせて、父親が私の集中治療室に入ってきた。
「何??」ドキっとした顔で、心配そうに母親が父親の顔をみた。
最初のコメントを投稿しよう!