第6章 現実

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第6章 現実

第6章 現実 「痛い・・・体中が痛い」 体中が痛かった。ボーっとした頭のまま、うっすらと目をあけた。 龍のコンサートの夢をみていたのかしら・・? 「美奈!!美奈!!よかった・・・よかった・・」 そこには、真っ青な顔をした母親が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。 「ど・・・どうしたの・・お・・おかあさん」 口が痛むためまだ、上手にロレツが回らなかった。 「あなた、自転車のままトラックにはねられたのよ。一度心臓が停止してその後は昏睡状態に・・・今夜が山場だって先生に言われて・・・」 母親は、泣きながらも早口にまた、再び美奈が昏睡状態にはいらないように、状況を説明した。 私・・・・はねられたんだ・・・一度・・・死んだの???? 「お・・・お父さんは?」 「となりの集中治療室・・・」 「え・・・お父さんも??」 「じゃなくて奈美が今日、イギリスから帰国して、自宅に帰る途中で、乗っていたタクシーとトラックが衝突して、同じように昏睡状態になって・・・」 というとまた母の両目から大粒の涙がポロポロとこぼれた。 「まったく、双子だからってそろいもそろって、自分達の誕生日に事故にあうなんて・・・ 奈美も一度心肺停止に陥って、昏睡状態のままなの・・・」 「母さん。」 声を震わせて、父親が私の集中治療室に入ってきた。 「何??」ドキっとした顔で、心配そうに母親が父親の顔をみた。
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