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また、こういうこともあった。 大阪の繁華街の中心地で乗用車が暴走。小さな子どもを含む十八名の尊い命が犠牲になった。犯人の動機は「生身の人間を車で轢いてみたかった」という、身勝手極まりないもの。国民の怒りは沸騰した。このとき、自殺志願者が「たいまつバンク」に列をなす光景が報じられた。 「どうしようもない人生だったが、最後くらいは誰かの役に立ちたい」   そう語る中年の浮浪者の顔つきは凛としており、これもまた感動を誘った。結果、被害に遭った十八名の人たちは無事によみがえったのである。
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