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当時、加害者の命を充てるかどうかも議論になったが、当然、ひとりの命では全被害者分を賄えないこと、そして「加害者の命を家族に吹き込んでほしくない」という被害者感情に配慮して、それは見送られた。 今も、殺人の助長につながる恐れがあるとして、加害者の命をリサイクルすることはなされていない。加害者の命は、そのままスポイルされている。 ちなみに、中年の浮浪者の横顔をおさめた写真は、昨年の「報道写真展」グランプリを受賞した。善意ある名もなき自殺志願者たちは「魂の救世主」と、もてはやされたのだった。
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