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この日も、「たいまつバンク」には、多くの命の提供者が訪れた。
死を間近に控えた高齢者。安楽死を選ぶ気持ちに近いのだろうか。働き盛りの中年サラリーマン。職場にも家庭にも居場所がなくなったのか。妄想は尽きないが、できるだけ打ち消す。
「あくまで単なるルーティンワークなのだから」
管理職でありながらも「現場を見ておきたい」という考えから、来訪者の手続き業務にも携わる真臼が自らに課したルールだった。
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