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そうして、一日が終わろうとしていた頃、真臼のスマートフォンが鳴った。 出てみると、前の勤務先の上司だった。かなりの役職で、省内でも強い力を持っている。政治家からも一目置かれている存在だ。真臼の移籍を快く応援し、いろいろと根回しをしてくれた恩人でもある。 「今日、行けるか?」 なにかの暗号のような物言いだが、何も深い意味はない。飲みの誘いだ。真臼は「喜んで」と、どこかの居酒屋のような潔さで返事をした。もちろん、その居酒屋のような明るさはないが。
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