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「もしもし。おとうさん、いまどこ?」
娘だった。いつもより、声のテンションが高い。そりゃそうだ。今日は彼女の誕生日なのだから。
「今日、会食の予定が入ったから帰れなくなった。週末に欲しいものを買ってやるから勘弁してくれ」
冷徹な物言いに聞こえるが、これまでずっと、こんな感じで娘とは接してきた。言えば、娘の誕生日に帰れなくなることは、過去にも何度かあった。こんなことができるのも、真臼が娘を信頼している証だった。
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