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娘は真臼以上に学力優秀で、そのうえ、文武両道。テニスでは全国大会に出場するほどの腕前だ。幼い頃から物分りがよく、礼儀正しくて、彼女は真臼の自慢の娘だった。娘の将来をイメージすると、期待で胸が膨らんだ。真臼は父親として「帝王学」とも言うべき「仕事論」や「世の中の渡り方」を日ごろから娘に教育している。それには当然「夜の付き合い」も含まれている。 「仕事だからな」   こう付け加えると、娘は「そっか。了解。おかあさんには伝えておくね。無理しないで頑張ってね」と、いつもと変わらない調子で返してきた。 「悪いな。何でも好きなものを買ってやるから考えときなさい」 「ありがとう」
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