132人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
Ⅲ
月が変わり九月を迎えた。
最初の出勤日は豪雨だった。日の出の時間はとっくに過ぎているのにもかかわらず、空は真っ暗。傘をさしていても、かろうじて守れるのは頭くらいで、ズボンはビショビショに濡れている。そのうえ、まだ気温は高く、蒸し蒸ししているため、汗だくだ。まったく不快な月初めだった。
とにかく雨の勢いがすごいからか、さすがに反対派による街宣活動もお休みだった。降り注ぐ雨の音と足早に歩く人たちの足音だけが街に漂っていた。
最初のコメントを投稿しよう!