ラプレンヒタ(ラプレンイタ)

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フルネーム:ラプレンヒタ・フォン・ハムキルヒ 登場作品:ミストルァルタ、片恋円舞曲 年齢:24歳 誕生日:4月16日 性別:女 身長:166cm 出身地:《問いかけの大地》 ハムンキルヒの神殿 一人称:私 髪色:翡翠色 瞳色:翡翠色 ラプレンヒタ・フォン・ハムンキルヒ Rapulenita von hamumkiruhia 天空ノ巫女──カグヤが異界から現れる時に、ソノ神託を聴いた者の一人。 通常、民の耳には聴こえない“コエ”を、心で聴くことができる者。 《四自然神(ピエリフィーカ)》の一人──風を司る巫女──《風ノ宮》の娘。 治癒や医療系の魔法を得意とし、同時に風の魔法を巧みに操る。      異例の神殿での出産と伝承の子 元々はハムンキルヒではなく別の場所で家族が暮らしていたが、ハムンキルヒの神殿に参拝に来た時に、ハムンキルヒの神殿で生まれた。 通常、血をお嫌いになられる神々の元で出産など末恐ろしいことであったが、出産したのは境内の外の宮で、 驚くことに彼女は、一族の伝承に在る「緑髪に翡翠色の目を持つ娘」と一致したことから、「この子は神々が御産みになられることを望まれた子なのだ」と尊ばれた。 ソノ後は、《貴民(アガタミ)》である両親の許、ハムンキルヒの神殿で多くのことを学びながら暮らすこととなった。      翡翠の瞳と翡翠の神の乙女の伝承 旧時代──大地が割れた時のこと、割れた大地から海に落ちる民、浮き上がる大地から海に落ちる民、死へと向かって落ちていく民を、緑髪の麗しい娘が風の魔法で救った。     娘は風舞ノ民──フォンの一族であった。 しかし当時の風舞ノ民には、多くの民を救い上げる強大な魔法を持った者は居なかった。 娘は必死に微弱な魔法で民を救おうと、小さな小さな風を起こしていた。 しかし娘の風は微弱。 そんな中、娘の側に美しい女神が現れ、こう仰られたのだ。     「いつも民の幸せを想っていた娘よ、私はソナタの祈りがいつも耳に届いていた。 今コノ時を持って、ソナタに民を救う力を授けよう」     女神が光輝く玉を生み出し、緑髪の麗しい娘の中に入れると、勢いよく風が舞い上がり、周囲のみならず遠く遠く果てまでの落ちてゆく民をも、風で救い上げた。 フォン家の娘は、落ちる民を海に浮かぶ大陸、天に浮かぶ大陸へと届けると、深く女神に感謝した。 民もまた、深く女神に感謝した。 女神の姿はもう無かった。 しかし、あたりにはとても澄んだ気が満ち満ちていた。 緑髪の娘は言った。     「この地に、宮代を立てよう。 神殿を作り、私達をお救いくださった女神様を御祀り致しましょう」     緑髪の麗しい娘に民は皆、賛同し、旧時代が終わる頃には立派な神殿が建設された。 そして神殿には、緑髪の麗しい娘の名を取って、こう名づけられた。 「ハムンキルヒの神殿」、と。 緑髪の麗しい娘──ハムンキルヒは最後にこう言ったのだ。 「民を助けることができたのは私の力ではない。 尊き女神様が、お力をお貸しくださったからだ。 神々に感謝を、神々に感謝を」 ハムンキルヒは寿命を終えるまで毎日神殿へと通い、民の平穏を祈った。 やがて、緑髪の麗しい民──ハムンキルヒが寿命を終え、亡くなると、ソノ御遺体はハムンキルヒ神殿内に安置され、御神体・寄代となった。 ソノ時だった。 ハムンキルヒの神殿の上空からハムンキルヒの“コエ”が舞い降りる。 「長い時の果てに、私と同じ、緑髪に翡翠色の瞳を持つ娘が、我がフォン家の一族から生まれることでしょう。 ソノ娘は誰に教わることなく、誰に導かれることなく、やがてアナタ達の子孫を救うことでしょう。 民よ、長い時の果てに、私と同じ娘が生まれたら大切に育てなさい。 ソノ娘は、きっと何か特別な力を賜ることでしょう──」 風舞ノ民──フォンの一族と、民は期待と深い深い感謝の念に沸いた。 そして心から誓ったのだ。 コノ出来事をあらゆる書物や口伝、語伝に残し、後世へ伝えていこう。 フォン家の麗しい娘──ハムンキルヒと、命をお救いくださった女神を忘れないように──      期待された手に負えない子 ラプレンヒタはハムンキルヒの神殿内で育った。 でも境内を走り回ったりと、それはそれはやんちゃな娘で…。 裏を返せば元気が良いとも取れるのだが、伝承の為か彼女にはいつも期待の目が向けられていた。 故にであろうか? 彼女は一向に大人しくも、おしとやかにも、たおやかにも育たなかった。 やんちゃで、元気で、楽観的で、突拍子もなくて。 でもソレがきっと彼女なのだろう。 学ぶべきことはきちんと学び、知るべきことは多く知っていった。 彼女は知性に溢れた娘でもあった。     そんな中、彼女はひとつの“コエ”を聴く。 「天空ノ巫女──カグヤの誕生」。 ソレはラプレンヒタならず、他の者──“コエ”を聴ける者の心にも届いていた。 ラプレンヒタはすぐ様、父母にこう告げた。 「父(ファー)、母(フェイ)よ、私は行ゆきます」     「いずこへ?」などと問う前に、ラプレンヒタはハムンキルヒの神殿の長の許へ向かい、「カグヤ様が御誕生なられるなれば、やがては《凛浄》へと迎えられることでしょう。 天空ノ三大神宮殿の一つ──ハムンキルヒの神殿の者として、使者として参ります」 唐突なことであった。 誰もが驚く中、ラプレンヒタは言った。 「ダイジョブダイジョブ! なんとかなるさ!」 ……もはや誰も彼女を止められる者など…、少なくともハムンキルヒの神殿内には居なかったのだ。 ラプレンヒタは女神とハムンキルヒに深く頭を垂れ、祈りと心のコエを伝えると、《凛浄》へと旅立っていった。      《凛浄》でまさかの 天空ノ巫女──カグヤとなる存在が、傷だらけで倒れているところを発見され、保護された後にラプレンヒタは《凛浄》にやってきた。 驚いたのはカグヤと呼ばれる少年の容態だった。 身体は傷だらけですっかり何かに怯えきった様子で。 ラプレンヒタはご挨拶申し上げようと意気込んでやってきたわけだが、どうやらとてもそんな様子じゃない。 さてどうしたものか? 彼女は考えた。 そしてゆっくりでも、彼と距離を縮めようと想った。 何故なら、ソノ少年とは不思議な導きを感じたからだ。 理由はソレだけだった。     だが不思議なことに、ラプレンヒタは治癒系魔法に長けていることから、《凛浄》の医師達から協力を申し込まれた。 彼女の治癒能力はそれ程までに高位なモノだったのだ。 ラプレンヒタは勿論快く引き受け、怯える彼に、あえて少しずつ傷を癒していった。 何故だと驚く医師達に、彼女は言ったのだ。 「御覧のように怯えきる彼に、“現状”というモノの急激な変化は心も脳も追いつかないことでしょう。 定期的に癒し、そしてコミュニケーションを取ってゆきましょう」 彼女の言うことにも一理あり、医師達は納得した。 そしてラプレンヒタは想った。 さて、これはしばらく故郷──ハムンキルヒの神殿に帰れそうにないぞ。 ラプレンヒタは軽く軽くソレも楽観的に現状を父母に電通で伝えると、そのまま《凛浄》の長の了承を得て、しばらく《凛浄》へ滞在することになった。      そして…、長くゆっくりとした治療の果て、彼女は少しずつ天空ノ巫女──カグヤに選ばれた不思議な少年と心を交わしてゆくことになるのだった。
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