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 次の日、俺は雪会さんから話かけられるのを待っていた。自分からは声をかけられない。雪会さんが昨日の俺を許して、話かけてくれないかと期待していた。性悪の上に小心だな、俺は。  話ができないまま放課後。隣の席の嘉藤が、掃除時間に仕入れたネタを語り出した。 「樋浦、結城のウワサ聞いた?」  俗な話振りに、俺は今自分を煩わせているのが結城だというのも忘れて噂話に応じた。 「聞いてない。何?」 「あいつね、昨日ウチの生徒と二人で喫茶店にいたんだって」  俺は内心愕然とした。ウチの生徒、それは、雪会さんだ。嫌だ、雪会さんがこんな噂の張本人になるなんて。 「先生と生徒が付き合うってのは本当にあるんだなー」  気が付くと周りは結城の話で持ち切り状態になっていた。がっかりだとか、羨ましいとか、勇気あるとか、好きだったのにとか。  まだ、大丈夫だ。雪会さんの名前は、出ていない。  雪会さんはいつもと変わらず女友達と笑い合っている。結城とはお茶しただけなんだ、何もなかったんだ。絶対。  ホームルームが終わり、雪会さんが帰り支度をして教室を出たところを、俺は後ろから追いかける。 「雪会ちゃん元気?」     
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