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 ちょっと遠慮がちにあいさつすると、雪会さんは立ち止まって、つぶやいた。 「昨日、史人君の言うこと聞いて、行かなきゃよかった」  ……やっぱり、だから言っただろう危険だって!  これは俺の望んだ展開、雪会さんが反省してる。  けど、最悪だ。『男は危ない』と、変に脅してでも止めれば良かった。  人に聞かれちゃマズいと思って、俺は放課後で人の少ない学食のすみに雪会さんを誘う。そして意を決して、尋ねた。 「昨日結城と、何かあったのか?」  雪会さんは自販機で買ったホットココアを飲みながら、困り果てた表情で俺を見た。 「あたしのせいで、先生が変なふうに言われて、先生悪くないのに、かわいそうだよ」  は? 何、だって? 俺は、とてつもなくあっけに取られた。さっきまで頭の中がかなり深刻だったから余計。雪会さんが結城を嫌うような出来事はなかった、ってワケ? 「オイ、先生悪くないって、悪いだろ。雪会さんをこんな困らせてんだから」  雪会さんは首を横に振る。 「でも、先生はあたしと同じなの」 「何が」 「自分のこと、好きじゃないかも知れない人に好きだって言うの、すごく恐いんだよ。あたしと同じように、先生一生懸命だった」     
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