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生徒に告ったのがバレて結城がどう出るかわからないが、まぁいい。雪会さんが困っているからどうにかする、それだけのことだ。脈がないとわかれば、結城ももう手を出してこないだろう。
「て言うか、断る方向でいいのかな?」
雪会さんは、本当に平然と答える。
「当たり前でしょ。あたし、史人くんとお付き合いしてるんだから」
ついでに、気になったこと、もう一つ聞いておこう。
「あとさ、俺に告る時、一生懸命だったんだ?」
「そうだよ。史人くん、頭いいし優しいから、早く告白しないと先越されるよって友だちに言われて。恥ずかしかったけど頑張ったんだからね」
それで自分にはまだ色恋は早いと思いながらも告白したのか。
もう好きであることを言ってしまっているせいか、恥ずかしげもなく過去を打ち明ける雪会さん。俺は決戦前だというのに、顔が熱くて、ゆるむ口元を隠すのが精一杯だった。
「嬉しくて、泣いちゃいそう」
「何で今なの?」
そうだよな、雪会さんにしたら告白が受理された時が嬉しくて泣きそうな瞬間だったんだろうな。俺は、昨日は雪会さんが離れていくかも知れないことを猛心配してたから、反動が半端ない。
だいぶ一途で、何故か今ドライな雪会さんを見て俺は、舞い上がりそうな気分をどうにか落ち着ける。
「じゃ、俺行ってくるわ。待ってる?」
雪会さんは、少し悲しそうにうなずいた。
「うん。ごめんね、史人君」
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