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中学の三年から高一高二と三年間どういう訳か同じクラスで、恋愛感情を持たずに接してきたが、俺が無意識でやってきた行動が雪会さんに最高の形で伝わっていたらしい。あぁ俺はなんて幸せ者なんだ、神様ありがとう! と、俺は猛烈にどこかの神様に感謝したもんだ。
「史人君、世界史のテストどうだった?」
月曜日。スタバで甘過ぎるコーヒーを飲みながら、雪会さんは毎度のことながら困ったような顔をして尋ねてきた。
「俺はまあまあかな。雪会さんは?」
「あたしはいつも通りなんだけど」
言いながら鞄からテストの答案を探り出す。雪会さんのいつもの点数ってどんなもんなんだと思いながら待つと、出てきた答案は『43点』。
「あのね、点数が違うの。先生に言った方がいいかな?」
「本当は何点なんでしょうか?」
「34点」
えっと、俺は87点だったよなあ?
「高く間違われたなら黙っときなさい」
何も迷う必要はない、9点も得しているんだから。それでも雪会さんは口をへの字にする。
「だって本当は赤点で補習なんだよ? 言わなきゃ悪いような気がして」
40点以下は補習だったな。したことないから忘れていた。そう言われると確かに、補習受けると受けないじゃ随分違う。俺はやっとそこで、雪会さんが悩む気持ちを理解した。
「それとね、あたしまだ課題提出してないのに出したことになってたの。それも言った方がいいよね」
「オイオイあの先生、雪会さんが可愛いからってヒイキしてんじゃないだろうな?」
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