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 火曜日の放課後。社会科資料室の入り口に俺は待機していた。結城の名誉の為、中まで立ち会うのを控えたのだ。故意に開け放した扉から、微かに二人の声が聞こえてくる。  点数が高くつけられていたら言わないのが暗黙の了解だと教師自らに告げられ、雪会さんは渋々納得したようだった。課題も期限は遅れたが今日提出したということで、平常点から減点されないままになった。 「高村はそんなに補習が受けたいのか? わからないところがあったら今からでも教えるぞ?」  結城の問いに雪会さんは、 「今日は友達が待ってるから」  と答える。一段落ついた、さあ帰るかと思ったのだが、まだ会話は続いていた。 「明日の放課後ならどうだ?」 「明日は別に予定ないけど」  オイ何でそうなる? せっかく補習を受けなくてもいい点数に落ち着いたってのに!  雪会さんは明日ここに来ること約束して、社会科資料室を出てきた。俺は雪会さんを促し教室まで戻り、誰もいないのを確認して扉を閉めた。 「何約束してんだよ!」 「何って補習じゃない」 「赤点じゃないんだろ、補習じゃなくて個人授業だ個人授業!」 「だってホントは赤点なんだから、どっちにしろ勉強しなきゃ」     
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