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「んなワケあるか? フツー先生が生徒と二人きりでお茶なんてしねーだろ? 危ないって!」
雪会さんは無防備だ、やる気さえあればいくらでも手を出せる。俺はしないが、結城はどうだ? 結城は俺より大人だ。雪会さんの成績を上げることも、適当な理由で二人きりになることもやってのけた。
「なんで危ないの? 結城先生はそういう先生じゃないと思うよ」
そう、雪会さんは、結城が好きなんだ。信頼してるんだ。もちろん先生としてだって、わかってるけど、嫌だ。俺は、そこで急にヤケになってしまった。
「いいよ、なら行ってみれば? 何があっても俺は知らねーから」
何もなければそれでいい。あったら、それはそれで雪会さんも反省するだろう。相手は聖職者、取り返しのつかない事にはならないはず。後で俺が正しかった事に気付けばいいんだ。
「どうして先生を悪く言うの? ホントはどうかわからないのに」
雪会さんの小さな反抗に、俺は、
「いってらっしゃい」
と、無責任に手を振った。
後は自己嫌悪だった。雪会さんの事が心配で心配で。やっぱ俺は全然優しくない。雪会さんに好かれる資格なんてない。それでも俺は、雪会さんを手放したくなかった。
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