4人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
無事、リブ・ドゥが隣国の王の居る城に辿りつくと、王国の兵士が瞬く間に彼を囲んだ。
しかし、彼は意にも介さず、真っ直ぐに国王の元へと歩みを進める。
兵士達は彼を止める事はなく、その場に足がくっついてしまったかのように微動だにしない。
一際立派な甲冑の兵士がリブ・ドゥの歩く道の前に歩み出た。すると、リブ・ドゥもそれに反応してようやく足を止める。
「お、お前……生きていたのか!」
甲冑の兵士はそう叫ぶと、その場に崩れ落ちた。
「よう。元気だったか?」
噎び泣く甲冑の兵士に、リブ・ドゥは優しく声を掛ける。すると、周りの兵士達も一斉に敬礼をして、誰が掛け声をしたでもないのにピッタリと声を揃えて叫ぶ。
「「「お帰りなさい! カーライル隊長!!」」」
「あぁ、ただいま」
空気が揺れる程の兵士達の声に対し、彼は短くそう告げた。
「陛下に会いに来た。案内してくれるか?」
「あ、あぁ。しかし、陛下は今……」
「だいたいの察しはついている」
「そうか……分かった」
甲冑の兵士はリブ・ドゥもとい、旧友カーライルの帰還に喜びつつも、彼が王に会いに来た要件を察し、着いてこいとばかりに城内へと入っていった。
* * *
窓の外を見ると、城下が一望できる。国王のいる部屋はには、そんな大きな窓が3つ。それぞれ別の角度で様々な景色を映している。
「カーライルよ……また、其方の顔が見れるとは思いもしておらなんだ。嬉しいぞ」
今にも消え入りそうな声から、声の主がもう長くないことを感じさせる。
「陛下……またお会いできて、私も嬉しいです」
「お前が消えてから、どれだけの時が経ったのか……しかし、どこかで生きていると信じておったぞ。辛い戦争に駆り出してしまったこと、本当に申し訳ない」
「あ……いや……」
この王国ではカーライルと呼ばれる彼は、国王の言葉に返事が出来ずにいた。
「陛下! それは気にしなくて大丈夫ですよ! コイツ、それは楽しそうに空を飛び回っていましたから!」
カーライルの代わりに答えたのはここまで案内してくれた甲冑の兵士だった。
最初のコメントを投稿しよう!