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「あっ、ごめん。勉強中だった?」
「なに?」
「いや、あのね。洗濯物を取り込むだけじゃなくて、全部たたんでくれたでしょ。ありがとう」
「別にいいよ。大した量じゃないから」
そう言うと、すぐにテキストに目を戻す。問題に集中している様子だったので、
「ごはんは7時くらいになると思うから」
とだけ伝え、ドアを閉めた。
________ 本当にどうしちゃったのかしら?
早苗は首をかしげながら、階段を下りていった。
沙耶の勤勉な態度は、三日坊主では終わらなかった。
早苗が買い物から帰ってくると、リビングの机に塾のテキストやノートを広げて、自分で勉強を始めている。早苗にとっては喜ばしいことなのだが、この光景が未だに見慣れない。
「早く勉強を始めなさい!」
「学校の宿題は終わったの?」
「マンガを読みながら問題を解いても、頭に入るわけないでしょ」
早苗が口を酸っぱくして注意しても、一向に勉強を始めようとしなかった娘。挙句の果てには、
「お母さんに言われたから、やる気がなくなった」
と言う始末。
その娘が学校から帰って来たら、自分から勉強を始めている。
「________ お母さん。ここ使う?」
「いい、いい! 大丈夫だから、続けてなさい」
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