感心な子

15/28
前へ
/28ページ
次へ
「そう。最近はなんかダンス部の活動に夢中で、自分の部屋でも踊ってんのよ。あの子の部屋は2階だから、ドスンドスンうるさくて。主人がよく″踊りたいなら外でやれ!“って怒鳴っている」  そう言って、快活に笑う。仁科君江は子どもの年齢も、本人の年齢も自分より少し上なため、先輩ママとしてよく相談に乗ってもらっていた。  早苗はその場で数分おしゃべりに興じていたが、少し考えてから、 「_________ 仁科さん」 「ん?」 「今日、この後って少し時間ある?」 「_________でっ、沙耶ちゃんがどうかしたの?」  早苗と君江は、スーパーにほど近い場所にあるカフェに場所を移していた。注文した飲み物を受け取って窓際の席に腰を下ろすと、君江はすぐにそう尋ねてきた。 「あっ、やっぱり、わかる?」 「わかるよ~、なんか深刻そうな顔して言うんだもん」 「ごめんね、急に」 「いいよ、今日は特に予定はなかったから。で、どうしたの? また反抗期がひどくなった?」  以前から娘の言動については、いろいろと相談していたので、基本的な情報が頭にインプット済み。それでも、こんな相談はさすがに予想していないだろう。 「実はね……」  最近の沙耶の変化を話していくと、最初は椅子の背もたれに寄りかかり、ストローに口を当てていた君江が、次第に前のめりになっていく。すべてを話し終えた後には、     
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加