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「へえ~、すごい! 沙耶ちゃん、やる気満々じゃない」
「うん、まあ、やる気があるのはいいんだけど……」
「何? どうしたの?」
「何の前触れもなかったのに急に変わるもんだから、私、びっくりしちゃって」
「本当に何もなかったの?」
「あえて上げるなら、プリントをさぼっていたのを叱ったくらいだけど、今まで同じように怒っても全然効果なかったのよ。やれって言ってもやらないし、黙って見守っていると何時間でもマンガ読んでいるし」
「でも、ほら、子どもって急にスイッチ入るから」
「加奈子ちゃんもそうだった?」
早苗はカップに手を伸ばしながら、そう尋ねる。
「あの子はずっと同じテンションだったね。最後の最後まで」
「加奈子ちゃんはまじめだからな~。宿題とか絶対に忘れないタイプでしょ」
「まあ、たしかにまじめと言えばまじめだけど、ラストスパートでやる気がガッと伸びるってこともなかったよ。男の子の中には、急にスイッチが入って、一気に成長するタイプがいるらしいけど。沙耶ちゃんも、そっちなんじゃない?」
「そうかな。たしかにがさつで女子力低いほうだと思うけど」
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