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「じゃあ、お母さんの自転車、貸してよ」
「だめよ、今パンクの修理で預けているんだから」
「なんで、こういう日に限って修理なんか出してるの!」
沙耶は自分のミスを棚に上げて、憤慨する。
「じゃあ、夜は迎えに来てよ」
「わかったから、早く行きなさい。楽譜は持ったの?」
「ねえ、あそこ、夜暗くて怖いんだから、絶対来てよ。携帯に電話するからね」
ごねる娘を何とか送り出し、小さくため息をつく。それはドタバタ劇に対する疲れだけでなく、
_________ あの子がいない間に、嵐のライブDVDを見ようと思っていたのに。
ピアノ教室に迎えに行くとなると、DVDを見る時間が30分は減ってしまう。
「はぁ~」
それが今から3週間前のこと。
「______そう。________そう。________そうなのよ。だから、私も困っちゃって。あなたのほうにメールで送ったら、パソコンで見てもらえる? _______ありがとう。______今日のニュースで、北海道で初雪を観測したって言っていたけど。________ああ、そうなんだ。場所によっていろいろなのね」
札幌に単身赴任中の夫と電話で話していると、
ガラッ!
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