感心な子

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 浴室のドアが開く音が聞こえてきた。沙耶がお風呂から上がったらしい。 「うん、じゃあ、また来週にでも電話するから」  そう言って電話を切り、リビングのほうに向かうと、 「ちょっと! なんて格好してるの」  沙耶は裸のままでソファーに座り、タオルを肩にかけてテレビを見ている。髪はまだ水分を含んでおり、髪の先端から水滴がポタポタと落ちてソファーを濡らしている。 「そんな格好していると風邪引くよ。髪もまだ濡れているじゃない」 「大丈夫、さっき暖房入れたから」  とんちんかんな返答しながら、リモコンで番組を変える。  こういうところは5年生になっても一向に変化なし。トイレのドアを閉めない、脱いだ服をそのまま床に投げ捨てる、人がいる前で平気で足を広げる・鼻をほじる・背中をかく……。  __________ これで本当に女の子なのかしら。  早苗はタンスからパジャマと下着を取り出すと、リビングに戻り、沙耶に向かって投げつける。 「いたっ! 何すんの」 「いつまでそんな格好してるの。恥ずかしくないの」 「いいでしょ、お父さんいないんだから」  そう言って、しぶしぶ服を着ながらも、視線はテレビから離さない。  _________ 宿題はやったの?  それも言いたかったが、グッと飲み込む。     
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