感心な子

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 キッチンの椅子へ促し、親子で向き合う。沙耶はつまらなそうな表情で、両足をブラブラさせる。 「今日、塾の先生に呼ばれて面談に言ってきたの」  その言葉で娘の表情が変わるかと思ったが、変化は見られない。 「あんた、塾の宿題のプリントを1か月以上出してないんだってね」 「……」  沙耶は両足をブラブラさせながら、目を合わせようとしない。いつもは何かにつけて反発するくせに、自分に都合が悪くなると貝のように黙り込む。 「なんでプリントを出さないの? プリントで復習して、先生にチェックしてもらわないとできるようにならないでしょ」 「……」 「授業だけ出ても意味ないんだよ! ちゃんと問題を解かないと」 「やってるし……」 「じゃあ、なんで出さないの」 「だって、ほかの子は全部解いているのに、私だけ空欄があるんだもん。でもわかんないやつは、ちゃんと質問しているもん」  ___________ うそだ。  今日の面談で、質問時間に沙耶が先生のところに来ることはほとんどないと聞かされた。休み時間はいつも女の子同士でおしゃべりに興じているとのこと。 「それに」  沙耶は少しだけ顔を上げて、 「ほかの子はずるい」 「ずるいって何が」     
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