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涙が、止まらなかった。
デートに誘われて、嬉しかった。
それなのに、浮かれすぎて、バカだ、私。
ずっと好きだった。
好きなのに、それを今更素直になんて言えずに、だらだらと友達の延長線の関係だった。
怪我は悔しかったけど、あの時私の名前を呼んで駆けてきてくれたのも、すごく嬉しかった。
入院中も部活帰りに疲れているのに毎日、落ち込んだ私の気持ちを取り戻すまで、ずっと側に寄り添ってくれたのも。
なのに、あなたはもう、私には笑い掛けてくれないと言うの?
沙耶はその場にうずくまり、声を殺して泣き続けた。
その日から、彼は沙耶と目も合わせてくれなくなった。
もう遅いの?
昨日の怒った目が、頭から離れず沙耶の心臓を深く抉った。
今まで何を言ったってヘラヘラ笑うだけで、そんなに怒った彼の顔を見たのは初めてのことだったから……。
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