明日デートに誘ったら、君はどんな顔するかな。

光弘

「あ、あのさ」

湿っぽい話題を変えようと、切り出したが、まずい後が続かない。

口をあんぐり開けたまま固まる光弘に、真っ直ぐな眼差しが余りにも恥ずかしい。

「あ、いや、その、さ……そうだ、全国行けたら、何かご褒美！」

「えぇ？」

間抜けな答えに、沙耶まで間抜けな声が出てしまい、思わず笑う彼女が嬉しくて光弘も笑った。

「だからさ、沙耶の分も頑張るからさ、それにはやっぱりご褒美があると良いだろ？」

笑いは止んで光弘をじっと見詰めてくるその目が気恥ずかしい。

つい、目が泳ぐ光弘に「分かった。何が良いの？」と沙耶は敢えて真正面に立ち、視線を合わせてきた。

「あ、や。それはまだ、考えて……無い」

「じゃあ、決めたら教えてね。高いのとかはダメだよ？」

首を傾けながらはにかむ、その言い方すら今は可愛くて仕方ない。

「分かった」

ぶっきらぼうになってしまった言葉は照れを隠すためだった。