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「八代もこれから部活?」  放課後、柔道場に向かう俺の背に声。 振り向かなくても誰が発したのかは一目瞭然。 「柔道部は新入生何人入った?」 「三人、そっちは?」 平静に答える事ができた。よし、大丈夫。 「五人も入ってきたんだ」 少し自慢げ話す桜井に直視出来ない。 どうした?俺 「でも部員が増えるとレギュラー争いが厳しくなるから大変だよ」 「相手はまだ十二歳のガキだから余裕だろ」 「何言ってるの、私たちと一つしか変わらないのに。それに年下にポジション獲られたらカッコ悪いじゃん」 団体戦と個人戦の両方が存在する柔道には分からない苦しみがあるみたい。 だから春休みの時も一生懸命取り組んでいたのか。 「でも春休みも結構頑張ってたから自信を持てば大丈夫だと・・・」 「やっぱり覗き見してたんだ、私たちのこと」 ば、バレてたのか。 どうやら柔道部が休みの間、練習をサボっていた事がソフト部の間でも判明しており、顧問に告げ口するかしないかで話題になっていあそうな。 たまたま覗き見していたのが新二年生のみだったので、ジャッジは女子の新二年に委ねられた結果、見逃してもらったのだが。 「ほんと困った人たち、どうせ久美目的でしょ?」 まさか件の主役が自分だったなんて思ってもいない女子生徒はペットを叱る飼い主のように怒りというよりむしろ慈愛に満ちた・・・ 違う違う、これこそが村下の熱病の真骨頂。 桜井咲子の同情心による慈悲の憐みによってそれが菌を活発に・・・ 「どうした、反省しているの?顔赤いけど」 少し心配したのか顔を近づけてくるがやめてくれ、これ以上近づかれると熱病が。 熱病が俺の全身に憑りついて離れなくなってしまう!
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