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「『咲子』と書いて『えみこ』と呼ぶらしいよ、八代知ってた?」 「名前が咲子と聞いて俺はピンときたんだ。絶対四月生まれだよ、きっと」 「調べたらやっぱり誕生日が四月の九日で俺の言った通り」 「桜ってはかないイメージがするけどこちらの咲子は元気でいいねえ」 「ソフトの中だとみんな大野久美子を推すけど絶対咲ちゃんだよ。発展途上なだけ」 「見た目よりも胸は大きいと思うし」 「部の中で一番声を出して頑張っているし、このままだと二年でレギュラー間違いなしだな」 「もし咲ちゃんがいなかったらここまで活気はないよ。俺が保証する、絶対に」 「咲ちゃん、B組みたいだけどB組のヤツ、誰か俺と代わって」 「ガンちゃんのファンらしいんだけど、ガンちゃんって誰?」  他の部員たちは村下が放つ恋愛インフルエンザに無謀にもノーガードで立ち向かい次々と感染していく、すでに『咲ちゃん』と呼んでいる輩もいるくらいだから。 しかし免疫をもつ俺は違う。 村下がほざく戯言を右から左へと流して病原菌と排除していく。 もう以前の俺じゃない、簡単には移らないぞ。 幸いにも四月からは村下とはクラスが離れる。 熱病の一番の原因は距離にあると推測してるので、この一年は奴の病魔から退避できB組で静かに暮らせて行けそうだ。
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